基本方針

企業は、将来にわたって永遠に事業を続けることを前提としており、それを「継続企業の前提(GOING CONCERN:ゴーイングコンサーン)」と言います。
そもそも企業が継続する、生存するのは何のためでしょうか。

まず当然に起業した人、経営者の生活のためというのが第一の理由として挙げられます。これは本音でしょう。しかし、それだけのために商売を行うのでは、企業の存在意義が問われます。やはり、そこには、「顧客のため」に商売を行うのが前提で、顧客に役立つからこそ企業の存在価値が生まれる。つまりは、ニーズがあるから存在意義が認められるわけで、その結果、企業が存続するといえるでしょう。

顧客への貢献度や顧客からの支持の度合いが売上高であり利益であって、その数字を伸ばすためには、経営者一人だけでは足りないので従業員を雇うことになります。数多くの顧客からの支持に応えるためには、会社の規模を拡大せざるを得なくなり、その結果、企業は成長し存続することになります。

会社が成長し継続することは、経営者自身の収入はもちろん従業員の生活の安定にも役立つことは間違いないし、得意先だけでなく、仕入れ先や外注先に対する注文を増やすこともできます。まさに、近江商人の「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)を体現するためには、企業は成長し続けなければなりません。言い換えれば、規模拡大を目指さない企業は、存在意義がないといっても過言ではないかもしれません。

企業の存続・拡大が顧客のためになるのであれば、その戦略を考えることが経営者の役目です。その戦略の方針・考え方を従業員とともに共有し、その目標を達成するための有効な手段として、「理念(ビジョン)」による経営を行っていくことが大切であるという結論に達しました。

そのため、2017年1月に「経営計画委員会」を発足させ、まず、社員からのアンケート調査も参考にしながら、同年6月に「企業理念」と「行動指針」を策定しました。続いて、同年10月には、「10年後のビジョン」を描き、そのビジョンを具現化するための道標となる「経営指針体系」を策定しました。具体的には、現状の事業ドメインを分析し、現状とのビジョンのギャップに課題を設定し、経営戦略を立てるという手法です。

達成方法については、10年という長い期間を3か年毎の「中期経営計画」で目標を数値化し、3回目の中期経営計画にてビジョンを実現します。

3か年の「中期経営計画」の目標を達成するために、さらに1年毎の「事業目標」をBSC(バランススコアカード)という経営ツールを採用し、業績指標であるKPIを設定し、その進捗状況を「事業目標フォローアップ」にて管理します。

人財育成の観点からは、「チャレンジシート」という個人目標管理シートにより、年2回、上司との面談にて進捗状況を評価できる仕組みを整備しました。

以下それらの概要について発表致します。

中期経営計画2020

中期経営計画2017

NNKビジョン実現シート Ver2

企業理念行動方針(PDF)

<企業理念の想いについて>

私たちは、H29年に当社の将来について考えるため、社員全員にアンケートを実施しました。それは、私たち自身でこの会社で楽しく働いてゆくためには、どんな考え方・価値観をもつべきかそのためには、どのような行動規範をつくってゆけばよいか、という課題に一つの答えを自ら導き出したいと思ったからです。

企業理念の策定については、いろいろな表現方法がありましたが、分かりやすくするため、次の3つのカテゴリに分類しました。

1.企業の「事業領域」に関すること

2.企業の「社会的役割・使命」に関すること

3.企業の「文化・組織風土」に関すること

まず、1.の事業領域に関して、当社は顧客に様々な「建設サービス」を提供しておりますが、どのような提供の仕方がよいのか、どういう視点をもつべきかということに尽きると考えました。結果、「顧客の要望を満たす」ということが、まず基本であると思いますが、建築のプロとして顧客の要望を叶えることが、必ずしも、すべてではないと考えました。要求される構築物の機能、使いやすさ、顧客の価値観までもトータルで検討した結果、どうあるべきかという提案をすることにより、顧客から満足していただける、いや、それ以上に感動を与えることができれば、最高にやりがいを感じられるのではないでしょうか。

最近のITの発達による情報スピードの向上により、顧客も一般的な購買意思決定において我々が提案するより先に十分な検討材料を持ち合わせている場合が多いと思われます。しかし、企業内にいると自社の組織が見えづらいこともあります。顧客自身が自社の課題を客観的に、俯瞰的に観察し、課題を漏れなく抽出しきることは容易ではありません。顧客のニーズをそのまま受け取るだけでは、「顧客すら気づいていない課題」を見出すのは難しいでしょう。それを見つけ出す一つのアプローチが顧客の経営理念やビジョンの理解であると考えます。理念やビジョンを実現するためには、どうすべきか、という視点を持ち、その過程でニーズに合わせてアイデアを創り上げることが、顧客の真の課題解決につながるのではないかと確信いたします。こういった顧客志向の視点により、顧客の理念や価値観などを包含した潜在的なニーズまでも追求し、機能面からは「最高」ではなく、顧客にとっての「最適」を目指す設計施工の考え方を重視するという結論に達しました。

2番目の「社会的役割・使命」については、地域の総合建設会社として、まず地域社会の役に立つことを考えるという、当たり前のことを実行しようということです。

具体的には、当社の成長基盤である四日市港を中心に貢献できること、四日市の町づくりに貢献できること、など身近なところから考え、思いついたことから一つ一つ、やれることから実行していけばよいと考えています。

今、本社周辺の歩道の清掃作業を第一土曜日の朝行っております。きっかけは、社員の人材育成の一環として、5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を実践するために始まったものです。もう一つの理由は、本社前の歩道を通勤される方が、歩道に落ちている木々の端くれや落ち葉で足を滑らせたり、躓いたりして怪我をされないようにと思ったからです。また、地元の建設業界全体で実施している清掃作業などにも参加しております。

建設会社として、活躍できるとおもわれる災害時の支援として、建設資材の提供、重機等の提供等については、地元建設業団体と地元自治体との間で災害協定を結んでおります。また、港地区においては、地元自治会と企業が連携した自主防災組織が出来上がっており、その関係行事に参加しているところです。

「環境にやさしい社会の構築」に向けた貢献については、これまで、

・社内事務所設備の省エネタイプのモデルに順次更新(エアコンの更新、照明器具のLED化・車両の更新等)

・ごみの分別収集

・顧客への省エネ等対策の提案等

積極的に取り組んできたところです。

最近、新聞紙上等において、「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉を耳にします。これは、企業の評価、企業価値の創造という文脈において、話題となっている事柄ですが、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標です。2030年までを期限とし、貧困、エネルギー、成長、雇用、気候変動等、持続可能な社会の実現のための17の目標と169のターゲットから構成されています。当社は、今後、このSDGsの考え方を取り入れ、さらなる社会貢献に取り組むとともにSDGsモデルのコンセプト・事業モデルを検討することで、新たなビジネスチャンスを見出し、社会課題の解決に貢献できるよう努力していきたいと考えております。

最後のカテゴリーである企業の「文化・組織風土」については、創業90年を迎えた当社の伝統を背景に、顧客との関係を、「信頼と責任」というキーワードで表現しました。「顧客対応」については、「迅速」かつ「顧客本位の提案」をモットーに対応してきた結果、既存の顧客から、大きな注文を受けたり、また、新規の取引先を紹介していただくことにより、業績を伸ばしてきたという実績があります。この成功事例の根底にあるのが、顧客との「信頼」であり、「信頼」を維持醸成していくために顧客から請け負った仕事を「責任」をもって成し遂げるという姿勢を大切にしてきたということに尽きると思います。

また、当社の中核業務である施工管理業務について、当たり前のことですが、「品質と安全」を第一に考えて業務を遂行していくべきであるということです。そして、当社の事業を支える社員が、仕事に「やりがい」を感じ、「達成感」を味わうことができる職場づくりを目指していこうということです。その結果として、社員を支えてくれている家族が幸せになってくれればよいという想いです。

これら3つの領域に関する考えに基づいた「会社づくり」を目指していこうと思います。

 

<行動指針の想いについて>                                                                                                           

行動指針の作成についても、企業理念を3つの領域に分けて考えたのと同様、

次の<4つの領域>に分けて考えをまとめました。

  • 会社と社員の関係
  • 仕事への取組み
  • 顧客との関係
  • 社会との関係

                                                                                                                                           

1つ目の領域である「会社と社員の関係」について、                                                                                                          

<経営とは、『ビジョン』という名のストーリー。それをつくるのは社員。だから「ヒトづくり」を大切にしよう>

最初に、会社、リーダー、マネジャー、社員の役割・関係を簡潔に表現しました。

なぜ、会社は「ヒトづくり」を大切に考えているのか?それは、社員なしには会社が掲げている「ビジョン」という目標を達成できないからです。

社員は、また、会社の「ビジョン」の達成に向けて、行動し、知識を身に付け、様々な能力を開発し続けることにより、社員自身も成長していくことができるということです。

結果として、経営とは「ヒトづくり」に帰するということを表現しました。

 

<「リーダー」は正しいことをする。社員をリードし、奮起を促し、目的地を示そう>

次に、リーダーの役割を定義しました。                                                                                                                                

「正しい」の意味するところは、次の3つを包含します。

1.まず、みんなが生き生きとやりがいをもって働くために会社が定めた就業規則を守ること

  社員と一緒に定めた企業理念やビジョンの実現を目指すために努力すること

2.法令を遵守すること

3.企業も社会的存在であるという考えから、社会の要請に応えるということ

  人材育成や地域社会への貢献も社会の要請に応えるということ。

  社会の要請に応えるとは、「コンプライアンス」に応じるということ。

  「目的地」とは、「ビジョン」の実現であり、そのためにリーダーは社員のモチベーションを向上させ行動してもらうということ。

 

「良きリーダー」とは、率先垂範をするというよりも、社員の「主体性」を大切にするということ。

これまでは、人の先頭に立って模範を示すことがリーダーのあるべき姿と言われてきました。

しかし、これからのリーダーは極力、率先垂範をしないように気をつけ、社員の主体性をより大切にすることが、結果として企業成長および人材育成につながると考えます。

社員は、自分の力を発揮できる会社にしたい、お客様に喜ばれるときが一番うれしいという返答が多い。それを叶えるためには、「社員の主体性」を重んじることです。

上司に言われなくても自ら考えて自ら行動を起こすパワーが「主体性」です。

「やれ」と命令するのは逆効果であり、率先垂範をしないのもリーダーの大切な心得です。

 

社員の「主体性」を育てるとは、

一般的に良いといわれる「率先垂範」ですが、相手がやる前に答えを見せてしまうのは、社員が自分の頭で考える機会を奪うことと同じです。

よって、リーダーは、率先垂範した方がよい場面としない方がよい場面を区別しておく必要があります。

率先垂範すべき場面としては、次の3つがあります。

まず「行動」。具体的には、自分から先に挨拶、微笑みを向ける。威張らない。

人の話を最後まで聞くなど、人としてあるべき姿。

次に「考え方」。なぜ人は働くのかといった哲学、自社の方向性など、自分の頭で考える基盤。

最後は「基本事項」。社会人のマナー、実務マニュアルなど、働くための基礎となる事柄。

これら以外の実務は、極力、率先垂範を控えた方がよい。

教えるのではなく質問する

例えば、お客さんに出す資料の作成者から「これでいいですか?」と判断を仰がれたが、GOを出せない状態のとき、どうか答えますか?

主体性を育てたいなら、資料の目的や顧客ニーズを再度伝えたうえで「どうすればいいと思う?」と聞けば、作成者は自ら考え直すでしょう。

「どう思う?」「なぜそう考えたの?」「それをやるとどうなるの?」

コツは、柔和な表情でふんわりと言う。

言い方がきついと、言われた相手は顧客よりも上司の顔色を優先して考えるようになります。

教えずに質問すると、少し時間はかかるが「なぜだろう」と相手が深く考えるきっかけになり、成長につながります。

いますぐ良い結果を手に入れるか、相手を成長させるか、常に天秤にかけ、ほぼ後者を選ぶようにします。

 

<マネジャーは、物事を正しく行おう>  

マネジャーの役割としては、リーダーが示した目的地(ビジョン)を実現するために決定された計画・目標を達成するためにとるべき最も効果的な手段・方法を用いて社員に行動してもらうことです。行動してもらうためには、マネジャーは機会をたくさん与えること。そうでなければ、人は成長しません。

 <社員は、ビジョンを理解し、共感し、自己実現を目指そう>

社員は、リーダーやマネジャーからの示された目的地(ビジョン)を理解するとともに、実現するための方法を用いて行動することにより、自らも成長できるということを実感してもらうということ。

 

2つめの領域である「仕事への取組み」について、 

<仕事とは、専門性を発揮して報酬をもらうこと>

そのためには新しい情報を集め、新しいスキルを身に付けて提供しよう。

そして不満をポジィティブに変えていく真のプロフェッシナルを目指そう。

     

<資格取得をめざそう>

それは自己成長へのステップであると同時に信用の第一歩でもある。

当社では、職位別の必要な資格が設定されており、順次、必要な技能および資格を取得するための講習や資格専門学校に行くことができるよう制度化しました。

<豊富な「知識」に加え、それを活用することのできる「知性」、本質を見出す「追求力」を習得しよう>

知識だけでは不十分。本当に必要なのは、知識を活かすための「知性」および物事の本質をとらえるための「追求力」を養うこと。

これらを習得できないと、真のプロフェッシナルにはなれない。

<顧客との会話、社員同士のコミュニケーション、上司への報告、部下の指導等を通じて、ヒトの意見を尊重しコミュニケーション力を向上しよう>

仕事をする上で、誰もが必要とする基本能力としてのコミュニケーション能力。

 

3つ目の領域である「顧客との関係」について、

<様々な顧客の真のニーズを捉えるため、顧客とのコミュニケーションを大切にしよう>

顧客の潜在的なニーズがどこにあるのかというレベルまで掘り下げることができるようにすること。

<クレームは、「顧客の要望」であり、「ニーズそのもの」と理解し、顧客の期待を超える「感動」を創ろう>

なぜ、クレームが発生したのかを掘り下げて追及することが、結果として、真の顧客ニーズに近づく最も早い近道であり、顧客からの満足を得やすく、時には「感動」までも与えることができるということ。

ドラッカーのいう、「企業の目的は、顧客の創造である」という一言に尽きます。

 

4つ目の領域である「社会との関係」について

<社員である前に、一人の社会人として、ルールやマナーを守ること以外に、ヒトに感謝する心、思いやりの精神、誠実さ、謙虚さを持ち合わせた自立した人間になろう>

社会人としてのあるべき共通の姿

<地域の一員として、積極的に地域の活動に貢献しよう>

企業も一つの地域共同体の一員であり、地域に役立つ存在でなければならないという考え。